FUJIFILM X-T5とX-T4の違いを徹底比較【カタログスペックから見える違い】

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今回はFUJIFILMのX-T5とX-T4の違いを見ていこうと思う。

この2機種、センサーとプロセッサーが新しくなった他にも多くの違いがあり、X-T5には新機種ならではの進化もある。

私自身もX-T4ユーザーであったこともあり、X-T5の登場は心待ちにしていた。
今回は主にスペックを比較しながら、X-T4ユーザーはX-T5に乗り換える必要があるのか?しっかりと見ていきたいと思う。
実際に使ってみての感想や比較はX-T5が手元に届いてからお届けしたいと思う。

目次

フジフィルムX-T5とX-T4の違い

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多少細かくなるとは思うが、項目ごとに分けてX-T5とX-T4の違いをお届けしていこう。

センサー&プロセッサーの違い

X-T5X-T4
イメージセンサーX-TRANS CMOS 5HRX-TRANS CMOS 4
プロセッサーX-Processor 5X-Processor 4

センサー・プロセッサー共にX-H2と同じものを搭載しているが、機能や性能については一部制限がかかっており、X-H2と同じとはいかない。
当たり前ではあるが、冷却性能などの差で同じスペックは維持できないようだ。

FUJIFILMとしては、2機種目となる4020万画素センサーを搭載した高画素モデルとなった。
従来のセンサーを搭載するX-T4と比較すると約1.5倍の画素数となり、高精細な描写が期待できるだろう。

サイズ・重量の違い

X-T5X-T4
横幅129.5mm134.6mm
高さ91.0mm92.8mm
奥行き(最薄部)63.8mm(37.9mm)63.8mm(37.9mm)
質量557g607g

奥行き(ボディの厚さ)こそ同じであるが、わずかにX-T5の方がコンパクトになり、軽量化も行われた。

サイズについては数ミリの差ではあるが、動画や写真で見るとT5の方が明らかに小さいことが伝わってくる。
重量も50g軽量になっており、軽量・コンパクトといったAPS-C機の利点を感じることもできるだろう。

数値上では僅かな差のように見えるが、持ち歩きや取り回しを考えると大きな差に感じる部分も多いと思われる。

ファインダーの違い

X-T5X-T4
ファインダー0.5型有機EL 約369万ドット0.5型有機EL 約369万ドット
視野率100%100%
ファインダー倍率0.8倍0.75倍
対角視野約39°約38°

ファインダーについては、極小さなアップデートに留まった。

X-T5の方が倍率が高くなり、わずかに大きく見えるようだが、あまり気にする程の差ではない。

ここについてもX-H2との差別化が図られており、H2シリーズの576万ドットのファインダーは採用されなかった。
少し残念な気持ちもあったが、次の液晶モニターでは、上位機種を凌ぐアップデートが与えられた。

液晶モニターの違い

X-T5X-T4
液晶モニター3.0型3方向チルト式TFTカラー3.0型バリアングル式TFTカラー
アスペクト比3:23:2
ドット数約184万ドット約162万ドット

3方向チルト式になったことの賛否は一旦置いておくとして、
なんと!フラッグシップモデルであるX-H2やX-H2Sよりも高いドット数を誇る液晶モニターが与えられたのだ。

少し違った考え方をすれば、チルトになったから このモニターのスペックが実現できたのかもしれない。

撮影時はファインダーを使うからモニターにスペックは求めないという声もあるが、撮影した写真を確認するのはモニターとなる。
どんな撮影環境であれ、モニターを使わないということは考えにくいため、モニターが高精細であることで一切のマイナスはない。

これは非常に喜ばしいアップデートと言って良いだろう。

外観の違い

基本的には、X-T4のデザインを踏襲しており大きな変更がないよに見えるX-T5だが、細かな部分でアップデートが施されている。

X-T5のシャッターボタンは、前方へシフトされており、より自然な形でシャッターを押せるようになった。

AFONボタンについても、T5は丸みが付きボタンが立体的に仕上がっている。(T4はフラットなデザイン)

露出ダイヤルもT5の方が大きくなっており、後方にシフトしたことで親指だけでダイヤルを回せるようになった。
T4はダイヤルを親指と人差指でつまんで回す必要があったため、操作性も良くなったと言える。

マイク端子などのフタ(カバー)についても改善されており、バネの入ったちゃんとしたフタになっている。

ISO感度の違い

X-T5X-T4
常用感度(静止画)ISO125〜12800ISO160〜12800
拡張感度(静止画)ISO64/80/100/25600/51200ISO80/100/25600/51200
常用感度(動画)ISO125〜12800ISO160〜12800
拡張感度(動画)ISO25600ISO25600

X-H2同様にISO125が常用ISO感度に加えられた。
動画についても同様の設定が可能であるため、場合によってはNDフィルターの出番が減るかもしれない。

拡張感度についてもISO64が加わり、一台でより多くの場面に対応できるようになったと言っても良いだろう。

シャッタースピードの違い

X-T5X-T4
メカニカルシャッター15分〜1/8000秒15分〜1/8000秒
電子シャッター15分〜1/180000秒15分〜1/32000秒
電子先幕シャッター15分〜1/8000秒15分〜1/8000秒
バルブ最長60分最長60分
動画1/8000〜1/4秒1/8000〜1/4秒
フラッシュ同調速度メカシャッター 1/250秒以下1/250秒以下

X-T5のシャッタースピードは、最速1/180000秒とX-H2と同じ。
X-T4と比較すると、約2.5段分拡張されたことになる。

晴天の屋外でも大口径レンズのF値を開放で使うことができる他、ローキーな撮影にも重宝することだろう。

手ブレ補正の違い

X-T5X-T4
補正機構センサーシフト方式5軸補正センサーシフト方式5軸補正
補正段数最大7.0段最大6.5段
電子防振ありあり
ブレ防止ブーストありあり

X-T5は小型化したにも関わらず、手ブレ補正のアップデートが行われた。

差は0.5段なので、決して大きなアップデートとは言えないが、ここもX-H2とスペックを合わせてきたというわけだ。

デジタルテレコン

X-T5X-T4
デジタルテレコン2.0× / 1.4× / OFF

X-T5にはデジタルテレコンバーターの機能が追加された。

4020万画素センサーになり、クロップ耐性が高くなったことで、テレコンの機能が追加されたと思って良いだろう。
単焦点レンズを装着したときでも、3つの焦点距離を楽しむことができる。

X-H2に搭載されているデジタルズームは採用されていないので注意しておこう。

デジタルテレコンとは

使用しているレンズの倍率以上の大きさに拡大し、中央部分を切り出して画像ファイルとして保存する機能。
例えば、35mmの単焦点レンズを使用しているときに、1.4×で49mm、2.0×で70mmで撮影することができる。

AF性能/被写体認識の違い

X-T5X-T4
顔・瞳検出
動物×
×
クルマ×
バイク&自転車×
飛行機×
電車×

X-T5には、X-H2/X-H2S同様に被写体検出機能が搭載された。

人物の顔や瞳だけでなく、動物・鳥・クルマ・バイク・自転車・飛行機・電車をカメラが認識し、AFを自動で追尾してくれる。
撮影者は、構図とシャッターチャンスに集中できるというわけだ。

検出の精度やスピードはX-H2同等で、動き物の補足はX-H2Sに劣ると思われる。
被写体検出を使用すると、顔・瞳認識は行わなくなるといった排他仕様になっている。

HEIF形式対応

X-T5X-T4
HEIF形式対応×

X-T5はHEIF形式に対応した。

HEIFとはデータサイズがJPEGの70%ながら、10bit・10億色の色情報を持つ圧縮効率の高いファイル形式のことをいう。
撮って出しの画像をより高画質・高効率に保存可能で、フィルムシミュレーションとの相性も良い。

RAWデータのように後から編集・現像する手間もなく、HEIF形式のデータを表示できるデバイスも増えているので、積極的に使っていきたい。

ピクセルマルチショット/スムーススキンエフェクト

X-T5X-T4
ピクセルマルチショット×
スムーススキンエフェクト×

X-T5には 1億6000万画素の世界を再現するピクセルマルチショットが搭載された。

ピクセルマルチショットは、ボディ内手ブレ補正の機能を活用し、1度のシャッターでセンサー動かし20枚撮影。
そのデータを専用ソフトで処理を行うことで1億6000万画素の超高解像度の画像を生成
することができる。

風景などの静止画で有効な機能となる。
専用ソフトウェア「Pixel Shift Combiner」が必須となるので覚えておこう。

スムーススキンエフェクトは、その名の通り人肌をなめらかに映し出すエフェクトとなる。
4020万画素の高解像度となったことで、写ってほしくないものも鮮明に映し出してしまうといったデメリットを抱えることとなる。

このエフェクトを使うことで、カメラ側で自然なかたちで人肌をなめらかに補正してくれるというわけだ。
エフェクトの適応には、強弱の設定があるので、好みに合わせて使い分けていきたい。

フィルムシミュレーションの追加

X-T5X-T4
フィルムシミュレーション19モード18モード

X-T5には【ノスタルジックネガ】が追加され、フィルムシミュレーションが19モードとなった。

ノスタルジックネガは、GFXに搭載されていたフィルムシミュレーションで、X-H2S以降の機種(X-H2含む)に新規採用されてきた。
やや暖色系で優しい印象のフィルムシミュレーションに仕立てられている。

ポートレイトや風景など様々なシーンで使い勝手のよさそうな印象だ。

1970年代、カラー表現の可能性を世界に提起し、芸術として定着させた「アメリカンニューカラー」の代表作を想起させる色再現を特徴とします。独特の諧調表現がハイライト部を柔らかくアンバーに描写する一方で、シャドウ部はディテールを残したままノリの良い色味を実現し、叙情的に切り取ることが出来ます。

fujifilm-x.com

バッテリーライフの進化

X-T5X-T4
バッテリーNP-W235NP-W235
静止画撮影可能枚数エコノミーモード:約740枚
ノーマルモード:約580枚
エコノミーモード:約600枚
ノーマルモード:約500枚
実撮影電池寿命4K60p:約80分
Full HD60p:約90分
Hull HD120p:約100分
4K30p:約85分
Full HD60p:約95分
連続撮影電池寿命4K60p:約130分
Full HD60p:約150分
4K30p:約110分
Full HD60p:約130分

写真撮影については大幅に向上したものの、動画撮影については大きな改善は見られなかった。

静止画撮影においてX-T4との比較でX-T5は、エコノミーモードで約23%、ノーマルモードで約16%向上した。
X-T5のキャッチコピーが「Photography First」ということもあるので、静止画撮影枚数の向上は意図として狙ったものと思われる。

動画記録制限の有無

動画のバッテリーライフについては、大きな改善が見られなかったものの、30分の撮影時間制限は撤廃されている。

これで より自由な動画撮影も楽しむこともできるようになった。

動画フォーマットの違い

X-T5X-T4
記録方式MOV:HEVC/H.265, リニアPCM ステレオ (24bit/48KHzサンプリング)
MPEG-4 AVC/H.264、リニアPCM ステレオ (24bit/48KHzサンプリング)

MP4:MPEG-4 AVC/H.264, AAC
ファイル記録形式: MOV、MP4
圧縮方式: MPEG-4 AVC/H.264、HEVC/H.265準拠
音声記録方式: リニアPCM ステレオ(24bit/48KHzサンプリング)、AAC
動画圧縮方式All Intra / Long GOPAll Intra / Long GOP
記録画素数/フレームレート[6.2K(16:9)] 6240 x 3510 29.97p/25p/24p/23.98p 360Mbps/200Mbps/100Mbps/50Mbps
[DCI4K HQ(17:9)] 4096 x 2160 29.97p/25p/24p/23.98p 360Mbps/200Mbps/100Mbps/50Mbps
[4K HQ(16:9)] 3840 x 2160 29.97p/25p/24p/23.98p 360Mbps/200Mbps/100Mbps/50Mbps
[DCI4K(17:9)] 4096 x 2160 59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 360Mbps/200Mbps/100Mbps/50Mbps
[4K(16:9)] 3840 x 2160 59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 360Mbps/200Mbps/100Mbps/50Mbps
[Full HD(17:9)] 2048 x 1080 59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 360Mbps/200Mbps/100Mbps/50Mbps
[Full HD(16:9)] 1920 x 1080 59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 360Mbps/200Mbps/100Mbps/50Mbps
[Full HD(17:9)ハイスピード動画] 2048 x 1080 240p/200p/120p/100p 360Mbps(記録時)/200Mbps(記録時)
[Full HD(16:9)ハイスピード動画] 1920 x 1080 240p/200p/120p/100p 360Mbps(記録時)/200Mbps(記録時)
[DCI4K(4096×2160)]   59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 400Mbps/200Mbps/100Mbps 59.94p/50p: 連続最大約20分まで、29.97p/25p/24p/23.98p: 連続最大約30分まで
[4K(3840×2160)]    59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 400Mbps/200Mbps/100Mbps 59.94p/50p: 連続最大約20分まで、29.97p/25p/24p/23.98p: 連続最大約30分まで
[Full HD(2048×1080)] 59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 200Mbps/100Mbps/50Mbps 連続最大約30分まで
[Full HD(1920×1080)] 59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 200Mbps/100Mbps/50Mbps 連続最大約30分まで
[Full HD(1920×1080)] ハイスピード動画
240P/200P 200Mbps(記録時) 連続最大約3分まで
120p/100p 200Mbps(記録時) 連続最大約6分まで

表だけ見るとゴチャッとしてしうが、記録方式と動画圧縮方式に変更はない。
X-T5の記録画素数には 6.2K と 4KHQ、DCI4KHQが追加され、各記録画素のビットレートに360Mbpsが追加されている。
X-H2と同じセンサーではあるが、8K撮影を行うことはできない。

全ての記録画素で30分の撮影時間の制限はなくなり、ハイスピード撮影での制限もないように見えるが、ここは実機で確認したいところだ。

価格の違い

X-T5X-T4
ボディ231,660円202,285円
レンズキット286,100円261,800円

どちらも発売当時の価格を比較してみると、
X-T5は ボディ単体で約30,000円、レンズキットで約25,000円の値上がりとなった。

レンズキットでは 付属するレンズが異なるので厳密な比較にはならないことを付け加えておく。
※X-T5キットレンズ XF18-55mmF2.8-4.0 / X-T4キットレンズ XF16-80mmF4.0

X-T5は 円安や半導体不足、値上げラッシュなど様々な外的要因がある中での発売となったが、値上げ幅としては最小限に留められたと思っている。
だがレンズキットのお得感は、かなり薄れてしまう結果となった。

【まとめ】X-T5とX-T4の違い

今回は X-T5とX-T4の比較をしてきたがいかがだっただろうか?

結果的に値上がりはしてしまったが、新型センサーや各部のアップデートに操作性のブラッシュアップなど、価格に見合う価値の提供はできていると思う。

「原点回帰」という言葉を使いながも、しっかりと「正統進化」も感じさせてもらえる
ボディサイズやチルト液晶では原点回帰を行い、内面はしっかりとアップデートを行い進化させてきたと言って良いだろう。

「Photography First」というキャッチコピーから「T5は写真機になってしまった」「バリアングルでないから動画撮れない」という嘆きの声も多く目にしたが、動画性能に空いてもしっかりアップデートされている。
バリアングルでなくなったことで、確かに自撮りはしにくくなったが、動画が撮れなくなったわけではない。
要は使い方と使う人の工夫次第でどうにかなるということだ。

X-T5は、もう一度 写真を撮る楽しみを思い出させてくれる そんな機種になった。

11月25日の発売日には、手元に届く予定なので、改めてレビューをお届けしたいと思う。

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この記事を書いた人

FUJIFILMを愛しFUJIFILMに愛されてないクマや。
たまに浮気もするんやけど、かんだでFUJIFILMに戻ってまう。
X-S10買うのは3回目やで。
うさんくさい関西弁やけど夢はFUJIFILMの先行レビューや!

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