今回は自身の愛用機であるX-S10の長期使用レビューをお届けしたいと思う。
なんだかんだで、X-S10を購入したのは3回目。
他のカメラを使ったりもしたが、やっぱりX-S10の使い心地を忘れることはできなかったようだ。
それくらい自分自身に合っているというのもあるが、利用するユーザーのことを考え抜いたカメラとも言えるのではないだろうか?
短期間で他のカメラに使用したからこそ見えてくるX-S10の素晴らしいところ、イマイチなところを中心にお伝えしていきたいと思う。
フジフィルム X-S10レビュー
まずは結論から
- 絶妙なサイズ感&軽量ボディ
- 握りやすいグリップ
- 上位機種と同じ画質
- カメラ然としたデザイン
- 小気味良いシャッター音
- 写真と動画のバランス
- 優秀な手ブレ補正
- ワンタッチで変更できるフィルムシミュレーション
- 各種処理時間
- 微妙な半押しシャッター
- カスタムボタンがやや不足
- 物足りないバッテリー容量
絶妙なサイズ感&軽量ボディ
X-S10を語る上で絶対に欠かすことのできないのが、この小型&軽量ボディだろう。
どこに行くにしても躊躇なく持ち出すことができる、抜群の携帯性を誇っている。
横幅 126.0mm × 高さ85.1mm × 奥行き65.4mm というコンパクトなボディを約465gという重量に収めてきた。
ちなみに約465gというのは、バッテリーもSDカードも含んでの重量だ。
一眼レフからミラーレス一眼になり、重量はかなり軽くなったが、X-S10はミラーレス一眼の中でもかなり軽い部類に入る。
X-T4譲りの性能を有しながらも超軽量とも言えるボディでどこに持っていくにしても苦になることはない。
「写真は撮った分だけ上手くなる」と考えると、持ち出すことを躊躇させないこのカメラは、カメラ初心者の上達の後押しをしてくれるものにもなるだろう。
たくさん写真を撮ることで、カメラも写真もどんどん好きになっていくで!
しっかり深いグリップ
小型軽量なだけでなく、グリップの握りやすさも素晴らしい!
X-Hシリーズのように大きくせり出したグリップになっており、ホールド感で言えばX-T4よりX-S10の方が上だ。
ボディを小型にしようとすると、グリップは削られがちな場所ではあるが、X-S10はしっかりと握りごたえあるグリップを採用してくれた。
多少大きなレンズでフロントヘビーになったとしても、この深いグリップのおかげで、しっかりホールドすることができ、親指のサムレストもあるので、カメラの安定感も良い。
このグリップのおかげで、どんなレンズとの組み合わせでも安心して使うことができる。
手の大きい男性は、やや小指が余ってしまうかもしれないが、それでもかなり安心のできる握り心地だと思う。
X-T4と同じ画質
X-S10はエントリー機と思われがちだが、画質も性能も機能も上位機種のX-T4譲りのものとなっている。
X-S10の有効画素数は2610万画素。
イメージセンサーには【X-Trans CMOS4】を採用し、【X-Processor4】で映像を処理している。
センサー、プロセッサーともに、上位機種のX-T4と同じものが採用されており、AF性能や瞳認識、低照度撮影などX-T4と同等の性能を有している。
撮影した写真や動画を見比べても、正直どちらの映像をどちらのカメラで撮影したのかわからない。
X-T4と同等性能のカメラをX-T4より8万円程度安く購入できるのだから、コストパフォーマンスも抜群と言えるだろう。
カメラ然としたデザイン
FUJIFILMのカメラを選ぶ理由として「デザイン」を挙げられる人も多いと思う。
軍艦部のダイヤル郡は無くなってしまったものの、X-S10もなかなかにカメラ然としたデザインで、可愛さも格好良さも備えている。
FUJIFILMのカメラとしては、割と横長のデザインでフィルムカメラを彷彿とさせる部分も良い。
軽量&コンパクトであることも手伝って、毎日持ち歩きたくなるカメラだ。
小気味良いシャッター音
決して高級感があるわけではないし、どちらかと言うと軽いシャッター音なのだが、
悪くない。
軽めの音ではあるものの、安っぽいということもなく、小気味よくシャッターが切れる。
撮影体験としても、十分気持ちの良いものになるだろう。
X-S10に慣れてしまうと、X-T4のシャッター音がやや物足りなくなってしまうという変な逆転現象すら起きてしまう。
微妙な半押しシャッター
半押しシャッターには多少の慣れが必要だ。
X-S10のシャッターは、半押しでクリック感があり、押し込むともう一度クリック感がある。
今では問題ないが、最初はかなり違和感があった。
半押しのクリック感が掴みづらいのだ。
半押しのつもりがシャッターを切ってしまうということも多々起こる。
最終的に半押しシャッターは使わない(親指AF)という方法で解決することにした。
カスタムボタンが少ない
カスタムボタンの数では、物足りなさを感じる。
個人的には、あと2〜4個くらいボタンが欲しいと思うところだ。
初心者でも使いやすいシンプルな操作系とデザインを採用していることもあり、スッキリとしている分、どうしてもボタン類は少なくなってしまう。
ここはタッチファンクションの設定などで代用はできるが、タッチファンクションは背面モニターを閉じた状態では使うことができない。
カスタムボタンの少なさに不安を感じる場合は、X-T4の購入をオススメする。
写真と動画のバランスが良い
写真撮影と動画撮影をシームレスに切り替えることができるのもX-S10の大きな魅力と言える。
写真を取っている中で、「ここは動画だ」と思えば、Recボタン一つで気軽に動画撮影も楽しむことができるだけではない。
自信でシッカリと設定を煮詰めることもできれば、本格的なLog撮影まで行うことができる他、オーバーサンプリング4K、Full HD 240P、DCIフォーマット(17:9)撮影など、撮影フォーマットもも充実している。
動画メニューも細かく設定することができ、動画専用操作モードを使うことで、写真撮影の設定と動画撮影の設定を切り分けることができるのも嬉しいポイントだ。
優秀な手ブレ補正
写真を撮るにしても、動画を撮るにしても優秀な手ブレ補正がサポートをしてくれる。
X-S10は、コンパクトなボディでありながらボディ内に5軸6段という高性能な手ブレ補正ユニットが搭載されている。
上位機種のX-T4に比べるとやや劣るものの十分な性能と言えるだろう。(X-T4は5軸6.5段)
他社カメラと比較しても、手ブレ補正の性能は高い。
カメラの手ブレ補正を表すものとして、◯軸△段という表現がされるが、中には実際に使うと数値の割に手ブレ補正が効いていないと感じるケースもある。(特に動画の場合)
X-S10ももちろんだが、FUJIFILMのカメラの手ブレ補正については、動画撮影時でもシッカリと性能を発揮してくれる。
ダイヤルフィルムシミュレーション
X-S10の特有の機能であるFnダイヤルで行うフィルムシミュレーションの変更。
使い勝手も使い心地も抜群に良い。
X-T4もX-E4も使っていたが、気軽にフィルムシミュレーションを変更するという点では、上位モデルのX-T4も凌駕している。
X-T4もファンクションボタンへの割当をすることで、フィルムシミュレーションの変更をダイヤルで行うことができるが、Fnボタン+ダイヤルの2アクションが必要になる。
一方でX-S10は、ファンクション設定を変更するこなく、ダイヤル一つでフィルムシミュレーションを楽しめるというわけだ。
2アクションと1アクションという小さな差ではあるが、直感的に操作し、シャッターチャンスを逃さないと考えると、アクションは一つでも少ない方が良い。
また フィルムシミュレーションをどんどん変更して撮影を楽しんでもらうことで、FUJIFILMのカメラの魅力も伝わると思う。
処理時間が長い
カメラ内部の処理に少し時間がかかる印象だ。
使っているセンサーもプロセッサーもX-T4と同じなので、同等の処理性能を期待していたが、比較するとX-S10の方が処理に掛かる時間が長い。
長秒露光の処理時間やアプリを使ったスマホへの写真の転送などちょっとしたところで若干のストレスを感じる。(メモリーカードなどの条件は同じ)
連射速度と連射枚数もX-T4が上なので、よりこだわった設定をストレス無く楽しむなら、X-T4を選ぶほうが幸せかもしれない。
バッテリーの消耗は早い
小型かつ高性能ゆえにバッテリーの消費は早い。
ボディが小型ということもあり、搭載できるバッテリーも小さくなる。
X-S10のバッテリーは、NP-W126Sという従来からのモデル。
一方X-T4など上位機種は、NP-W235という大型の新バッテリーになっている。
2機種を使い比べると、バッテリーの差は嫌でも感じてしまう。
多様劣るとはいえ、X-T4とX-S10は同じような性能・機能を有している。
それを小型のバッテリーで補うと言うのだから、バッテリーの消費は早くて当然。
バッテリーに不安のある方は、迷わずX-T4を購入することをオススメする。
ワイはバッテリー3個で運用してるで
X-S10後継機に期待すること
ここからは、X-S10の後継機(X-S20?)に求めることについて書いていきたいと思う。
簡易的な防塵防滴
普段はどこに行くときも持ち出したいカメラではあるが、カメラの持ち出しを躊躇する時がある。
雨予報のときだ。
目的地が屋内であれば良いのだが、屋外となるとカメラを持っていくのをためらってしまう。
これは求めすぎなのかもしれないが、上位機種より劣っても良いので、防滴機能くらいは欲しいところだ。
ボディのコスト的なところとの兼ね合いもあると思うので、防塵防滴までは求めない。
X-S10のキャラクターから考えても防塵防滴にして価格が上がるよりは、簡易的な防滴機能程度に留めて、同価格帯に留められる方が喜ばれるだろう。
家族旅行や運動会などのイベントで雨が降ることも考えられる。
多少の雨程度なら問題ないくらいの性能が欲しいところだ。
背面液晶モニターのスペックアップ
X-S10の液晶モニターは3.0型の104万ドット。
X-T4などの上位機種やX-S10以降に発売された機種は軒並み3.0型の162万ドットのモニターが採用されている。
この記事を書いている2022年9月現在で102万ドットのモニターを採用しているのは X-S10のみとなる。
X-S10の後継機についても162万ドットのモニターを採用してほしいところだ。
やはりX-T4やX-E4を使った身からすると、X-S10のモニターの解像感は物足りなさを感じる。
もちろんセンサーやプロセッサーが同じであることから、PCにデータを取り込んでしまえば撮れている写真や動画は同じなわけだが、撮影した現場での感動や高揚感は薄れてしまう。
製造コストや効率を考えても一機種のためだけに別のモニターを使うというのも考えにくいので、ここは改善される可能性が高いだろう。
ストラップリングの改善
X-S10には、よくある三角型のストラップリングが採用されているわけだが、やはり動画を撮るとなるとシーンによってはカチャカチャ音が入ってしまう。
写真も動画も撮れるハイブリッド機としてブランディングしていくなら、三角環の採用は行わず、ボディに直付けできるストラップホールを採用してほしいところだ。
ここに関してもX-S10以降に新規開発されたボディは、三角環は使われておらず、ボディにストラップを直付けできるようになっているので、改善される可能性は高いと思われる。
【まとめ】フジフィルムX-S10レビュー
今回は、愛機X-S10の長期使用レビューをお届けした。
FUJIFILMらしい性能を持ちながらも、新しい操作性にチャレンジした機種で、外観デザインも他のFUJIFILM機とは一線を画すものになっている。
一言でこのカメラを表現するなら
「毎日持ち出したくなる ユーザーの写真上達を手伝ってくれるカメラ」
といったところだろう。
どこに持って行くにも苦にならないボディ。
優れた操作性の数々。
使い込む毎に手に馴染むデザイン。
撮れる写真や動画の画質。
どこを切り取っても、12万円くらいで買えるカメラとは思えない仕上がりだ。
X-T4ももちろん素晴らしいカメラだが、価格に対しての満足感はX-S10の方が高いと言える。
X-T4やX-S10より後に発売されたX-E3、X-T30Ⅱが生産終了になる中、X-S10が残っているのもユーザーの評価が高い証拠と言えるだろう。
これから初めてミラーレス一眼カメラを購入する人も既存のFUJIFILMユーザーにも一度は触れて欲しいカメラだ。